|
 |
 |
鈴木先生
武富健治
|
アーカムで買う
amazonで買う
|
|
「鈴木先生」はすごい。
最近の漫画、つまり現代漫画では、1ページにどれだけ情報を盛り込めるかというかつての漫画作成法はすっかり消え、読者がページをめくる動作も含めてストーリー運びにつながっているという印象がある。
ところが「鈴木先生」を読む時は、ページをめくらず真剣なまなざしでページに釘付けだ。
膨大な量のセリフ。それぞれのキャラクターの、物事や目の前の事件、自分の経験に対する思いが語られる。
会話、議論の方向性が壮大なドラマとなって、言葉のアクション、言葉のスリル、言葉のスピード感でいつも一気に読ませられてしまう。内容がまた濃い。
この漫画はまるで、時代が過ぎるにつれ忘れられた「お祭りの意味」を再確認する如く、ナアナアになってしまった現代社会、暗黙の了解に対する素朴な疑問、本当に暗黙の了解で良いのかと
いうところを深くもう一度えぐり、固まった土を耕すようにニュートラルに戻してくれる漫画。
|
|
 |
 |
うすバカ昭和 ブルース
東陽片岡
|
アーカムで買う
amazonで買う
|
|
独特な濃い絵柄。読めばそれが恐るべきデッサン力と物凄い人間愛に裏打ちされたモノだということがわかる。
カッコワルイ事とカッコイイ事を理解した上でカッコワルイ人を描く姿がカッコイイ漫画。木の年輪のように年月を経ていないと出てこない模様や、秘伝のタレを絶やさず使い続ける老舗の味わいを敏感に感じて、そんなところばかりが描かれている。
しかしオススメはしない。というのは、下品だか…いや、東陽作品は「下品な漫画」ではなく「お下品なお漫画」と言った方が伝わりやすい。
東陽片岡先生は純粋な下僕精神の持ち主だと思う。
例えばセックスを「おセックス」と書く。表現の随所に下っ端精神が垣間見れる。ストーリーに関係ない、いや、ストーリーにすら出てこない、コマとコマの隙間に落書きのように描かれている親父が怒っている。などなど…
じゃあなぜ書評を書くのか?というと上記のお下品の裏にたまらないものを感じてしまったからだ。今年刊行された二冊の単行本では、特に「やさぐれ煩悩ブルース」が風俗色が強く、「うすバカ昭和ブルース」は昭和色が強い。
タイトルの通りお下品度は「やさぐれ煩悩ブルース」が強い。
この路線の延長線上(真逆の上品な場所)に、滝田ゆう先生がいらっしゃると思う。(
いや、滝田ゆう先生を中心として話をした方がわかりやすかったかも。すいません。)
|
|
 |
 |
手塚治虫WORLD 少年マンガ編
手塚治虫 みなもと太郎監修
|
アーカムで買う
amazonで買う
|
|
ゴマブックスが2008年から刊行しているこのシリーズは、私たち愛好家にとっては発見・研究本に、若い人たちにとっては良き入門編になるのではないかと思う。
例えば手塚治虫WORLDの二冊は雑誌版の最終回と単行本版の最終回を同時収録している。手塚治虫先生は雑誌に載せる漫画と単行本にする漫画を別物と捉え単行本化の際は必
ず手を入れる作家であるという。しかし現在ほとんどのファンが雑誌を追いかけられない状況、手塚ファンにとっても漫画制作過程の資料としても非常に意味のあるものだと思う。
私も、「大作家」といわれる人たちの「名作」と噂の作品を追いかけ続けている。
読むものは新旧さまざまだが、特に“そういう作品”からは時代や情報を飛び越えて一作一作から漫画自体が隆盛の頂点に向かって駆け上がっている“時代の空気”が匂ってくる。なぜそんな空気なり匂いがあるのかというと作者の気持ちがそのままストーリー
になり絵になっているのだろう。自分の生まれている時代であろうがなかろうがそんな匂いが好きなんだからしょうがない。
今年刊行されたタイトルを押さえておきたい。
2008年5月 手塚治虫WORLD 少年マンガ編 これがホントの最終回だ!
2008年7月 手塚治虫WORLD 青年マンガ編
2008年8月 ジョージ秋山WORLD タブーを畏れぬ愛と自由の漫画家・傑作選!
2008年9月 永井豪WORLD SFバイオレンス編
2008年10月 赤塚不二夫WORLD 緊急追悼版 ギャグの神様の作品と舞台裏!
2008年11月 永井豪WORLD EROTICギャグ編
2008年12月 石ノ森章太郎WORLD 少年マンガ編
大作家ともなると作品量が膨大!
お亡くなりになられた赤塚不二夫先生への追悼版、絶版の多い人気作家ジョージ秋山先生の傑作選も見逃せない。
|
|