「ハチミツとクローバー」の次は将棋漫画!しかもヤングアニマル!で連載としっていったいどんなのになるんだろーと思っていたところ、しっかりと羽海野チカでした。
シビアな勝負の世界や天才の苦悩を描いたかと思うとほのぼのとした日常をやわらかいタッチで描き上げる。シリアスとほのぼののコントラストは健在でした。
しかしやはり今回は掲載誌を意識してか前作ハチクロより力強いタッチの絵が増えたように思えます。主人公も男の子だし。彼女の絵は凄く女性的だし作品自体も女性的な繊細な感性で描いていく。その女性的な感性をベースに男性的な力強いコマの入った漫画を既に一巻の時点で構築しつつある。
最近出た二巻ではさらに主人公零くんの内面に迫った内容となっていた。彼が将棋の世界に入っていった理由、勝負の世界に飲み込まれ抗いつつも抜け出せない苦悩が痛いほどに伝わってくる。彼が将棋で得ているものは勝つことの単純な快楽ではない。生身の人間と対面することで彼は辛いことも嬉しいことも受け止め成長しているのだ。羽海野チカは勝負事の世界を舞台にして一人の少年の実存的な問題を試みているのだ。零くんは「おれには将棋しかない」という。しかしそのたった一つの将棋と言う術を頼りにしてこの世界で生きていく方法、場所、他者とのつながりを彼は手に入れていくのである。
モノローグがすごく丁寧に描きこまれていて作者のキャラクターに対しての愛情を感じます。最後の零君の悲痛な叫びに泣きました。
そしてその見せ方の何と巧みなこと!羽海野チカ、よりいっそう絵が上手になっています。あとがきでもかかれていますがほんと町の情景が印象的だし、季節感もちゃんと出てて美しい。
久しぶりに漫画っておもしろい!と思わせてくれた漫画です。続きも楽しみです。
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