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松尾@アーカム王子&ラボ

松尾@アーカム王子&ラボ

http://rokka.but.jp

年々、昔の名作まんがばかり読むようになってきてます。温故知新とかいいつつ、これは一種の老化かとぞくり。が、そんな変化も成長と思うことにした08年でした。

ギャラクシー銀座

長尾謙一郎
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前作「おしゃれ手帖」は最初の二三冊であまりのシモっぷりに面倒臭くなってそれ以降読んでなかったんですが、最後の方は凄かったみたいですね。

その勢いで「ギャラクシー銀座」、って感じみたいで。カネコアツシ「SOIL」、いがらしみきお「Sink」とこの「ギャラクシー銀座」で、私は勝手に『日常への不信と違和感』三部作と呼んでます。

正常、平凡であるはずの日常生活が、一つの蝶番を軸に回転すると異常極まりない世界が開く。っていう。彼ら(カネコアツシ・いがらしみきお・長尾謙一郎)の日常への違和感、一般的に当たり前だと思われている風景への不信感が蝶番となり、その扉を開けると奇妙な風景が広がっていく。といった点でこれらの作品がつながるなと勝手に思ってます。

スタイリッシュにすると「SOIL」に、怪奇にすると「Sink」に、そしてギャグにすると「ギャラクシー銀座」。

凡百のギャグ漫画と一戦を画すとしたら、読者の、日本人の平均的な生活、一般論の「正常」をよく観察された上で「異常」を描いている、という点ではないでしょうか。普通であるということへの順応と欺瞞の間に生きる大人にこそ許された跳躍が、つまりここで描かれる狂気である、と。

子供じみた幼稚なばか騒ぎに笑えなくなった人に静かにえぐりとられるような笑いを。大人になってしまった人に、大人だから笑える狂気を。長尾謙一郎、こんなすごい漫画描くようになったんだなぁと、一読者として不遜な感慨を覚えずにはおられませんでした。

そしてどーでもいけど私、ハリス漆原がいちばんのお気に入りです。

サクセスッ! …ピシャ(窓を閉める音)

日出処の天子

山岸涼子
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どうやら聖徳太子がエスパーだのホモだのと、エキセントリックなところが一人歩きしてそのタイトルが伝播しているこの作品。

その怪しげな噂はうちやって、とにかく一度は読んでみてもらいたい名作です。

山岸凉子のストーリーテリングの手腕は言わずもがな、王子(聖徳太子)の哀しい生き方、叶えられない想いにのたうち回る登場人物達の人間模様。どこをとっても読後一週間くらいは「日出処の天子」のことしか考えられなくなる存在感でした。

…で、まぁそういうのは名作と呼ばれる作品は当たり前に備えてる要素なわけですが、この漫画の何がすごいって、王子のキャラクターですよね!

ドSなふるまいをあの線の細い女子とも見紛う姿でキメていく王子!酷薄の美ってああいうのを言うんだなぁ。背景の、古代のオリエンタルでエキゾチックな美術も相まってひと際美しいキャラクター、厩戸王子。漫画ってそういうキャラクターだったり台詞だったりにどうしようもなく惹かれてしまうような、蠱惑的な一部分っていうのが実は肝だよな、などど思ったんでした。クセになんなきゃ面白くないよねぇやっぱり。

風と木の詩

竹宮恵子
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私は女子なのにBLが苦手というマイノリティでして(だいたい女子っていうのは性倒錯が大好きな生き物なので、一部の、漫画を読む事に対して自覚的なおたく女子はいざしらず、女子の8割は腐女子予備軍って言っていいと思う)BL漫画の始祖ともういべきこの作品は食わず嫌いをしてたんですが、はっきりって BLとかなんとか、そういうジャンル分けは、良い作品の前にはいかに不要かってことが身に染みて判りました。

彼女のプロフェッショナルな仕事ぶりにひたすら敬服せざるを得ない作品!