これから自分はどう生きていくんだろう、とか、どう生きたら良いんだろう、とかそういう疑問や不安に押しつぶされ
そうになるときは無いでしょうか。
いきなり宗教の勧誘みたいなこと言い出しましたけど、実は皆多かれ少なかれ抱いてるモノじゃないでしょうか。
あいつは楽しくやってるから、あのこは賢くやってるからこんな不安は無いんだろーな、とかいうのは隣の芝生ってもんです、きっと。
羽央さんの最新刊、『天国最上階』に納められた表題作の同名タイトル作品のテーマはまさしくそんなとこです。
オサレ高層ビルの最上階の一室をルームシェアしている二十代の女の子三人が、そこで売春を生業にして
生活している、という設定はなんだか胡散臭さがプンプンなんですけど、テーマがテーマだけにけっこう入り込んで読めました。
ストーリーは、その三人の中の、一見一番ちゃらんぽらんしてそーな変態プレイ担当の「サイコ」という女の子の心理の変遷をおった流れになってます。彼女は普段は体売って大金稼いでおもしろおかしく生きてるように見えますが、ひとり屋上で得体の知れない
「モヤモヤ」つまり、「不安」と向き合うことがあります。
進んでも進んでも三歩先はいつもモヤモヤしているけど、見ないようにしてなんとか押さえていたそのモヤモヤは、他の二人の転身、一人は結婚、一人は大手企業への就職、それらによりサイコを飲み込んでしまいます。
世界に潰されそうだ。
「さあ お前は どうするんだ」
自分が何をしたいのか分からないままどんどん歳をとっていく。これからどうしていいか分からない。こういう不安で息苦しい人には是非読んでほしい作品です。
ストーリーやテーマについてはこんなとこですが、やはり特筆すべきは、羽央さんの心理描写の巧みさじゃないでしょーか。今回も不安という形のあやふやなものを実に巧みに読む側に伝えています。迫力が違うんですよね。ものすごくリアルに伝わってきます。
この作家の他の作品も何が優れているかというと、やはり心理描写だろう、と思います。
どんどん絵も上手くなってきている印象も受け、これからが気になる作家さんです。
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