岡崎京子というと、現代文の授業を思い出させる難解さがあってとっつきにくかったのですが、今回の
「ヘルタースケルター」は難解さを超して、一つのストーリーとして魅力と読みごたえのある作品と感じました。
テーマとしては、毎日鏡の前に座ってお化粧したりする女性なら多かれ少なかれ抱えているであろう、
終わること無く続く欲望、つまり、もっとキレイになりたい、とうい欲望に突き動かされて、どこに行き着くんだろうか、という問いがあります。
いや、反語的に捉えた方がいいでしょうか、行き着く先はこうだ、といった。全身整形で完璧に世の女性の
欲望のままの姿を手に入れた、人気タレント"りりこ"のもがき、懊悩、焦躁を軸にストーリーは展開していきます。
岡崎京子による、テーマの切取り方の鋭さは言うまでもなく、今回特筆すべきは
作品がさらにこちらを魅了してくる華やかさを持っている、と感じられたことじゃないかと思いました。
カメラの前のりりこと、部屋で整形手術の後遺症の苦しさに泣きわめくりりこ。
この二つの像が響きあい、ファインダーに切り取られたりりこの美しさ、りりこの背負った苦しみが、心に深くはいりこんでくるのです。
この二つの対立から、作者としては欲望の虚しさ、しかし追いかけずにはおれない人間の業を
描こうとしていたのでしょう。
しかしそれに加えて、どこかもう一度本を開きたくなる魅力を感じます。ショウビスの世界の光と陰を描いた
作品はジャンルを問わずいくらかあるのですが、この作品もそういった括りで読んでみるとなんともいえない
魅力に溢れています。
岡崎京子は難しくてちょっと…、という人にも十分読みごたえのある作品として、ヘルタースケルター、
お勧めしたいと思います。
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