|
[story]
現代では落ちぶれてしまい、数も減ってしまった天狗たち。その不思議な力でかつては人間から畏れ敬われ、崇められていたと言う・・
現代に生きる天狗、師匠とその弟子のシノブ(主人公)はなんとかしてその天狗の権力をとりもどしたいと願うが、そんなものはもはや時代錯誤だとして同胞の天狗からも全く相手にされない始末。ところがシノブがひょんなことから命を救った幸南(ユキナン)という女の子が事態を一変させる。彼女は天狗を呼び寄せる超能力持っていたのだ。(本人はその事に気づいてないが)
師匠は幸南をつかって仲間を集め、ついには伝説の天狗Z氏までも蘇らせることに成功する。『大日本天狗党』を立ち上げ、勢いに乗る天狗たちは首都東京を占領。しかしそのころシノブは?・・・
あらすじだけでは分からないと思いますが、実はこの物語の中で天狗と人間の境目は大変曖昧です。主人公のシノブも元はといえば人間ですし、一人突飛な行動を取り続ける比良井というという天狗も「誰でも誰でも天狗になったりならなかったりする」というセリフを吐いています。つまり天狗というのはこの現代が生み出した話の中で「居場所のない者」の象徴としてえがかれているのです。
天狗になったものの、実はその生活に嫌気がさしてて、自分の家にかえったり人間の恋人と暮らしてみたりするシノブ。過去の栄光をなんとかして取り戻そうとする誇り高き師匠。「大日本天狗党」を抜け出してひとり骨董屋に戻り、天狗のアイデンティティについて考える有吾堂。天狗たちはみな懸命に自分の居場所をもとめますが、その姿はまるで私達現代の人間そのものなのです。ここにこの作品の素晴らしさがあると思います。そしてその答えはどこにあるのか?
感動のクライマックスにはあえて触れないでおきましょう。既成のワクにとらわれない躍動感あふれる暖かい絵も見事です。近年まれに見る大傑作、「日本天狗党絵詞」をどうぞお楽しみください。
|