|
【REVIEW】
カッコイイと思われる言葉をパズルのようにつなぎ合わせて、なんとかモンタージュの文体みたいなモンができる。流行を意識して流行りを罵倒する。期待をしったような顔をして裏切ったつもりでいる。いつでも痛いところを舐めることも蹴り倒すこともできるような雰囲気だけは匂わせる。下手くそなら派手にやる。いっそのこと下品だといわれようとする。
本当か嘘かはどうでもよくて言葉のいちいちに「お願いします。こうあってくれ」と厭らしさなんかをちらつかせる。万尊の批評にはそういうクソみたいなポーズは馴染まない。簡潔にというか純粋というか、カッコいい好き嫌いでモノを書いている。
万尊は主人公で、輸入レコード屋の店番で生活をしのぐおっさん。音楽ライターでDJといういまどき過ぎてダサい肩書きを持つが、批評もレコードを扱う感覚も半端じゃなく本物。だが、「言葉が掴めない」という理由でしばらくモノ書きの仕事をやめていた万尊の前にヤマザキという無気味な男が現れる。新創刊誌の仕事の依頼を受けた万尊は金と好奇心から様々な現場にでくわす。亡霊がでる噂のマンモス団地の実態、自殺未遂を犯し消息をたった少女作家のいま、などストーリーはいよいよ奇妙な世界へと・・
見せ所として、ストーリーのサビのあたりに流れる音楽は必聴! 80年代改元の夜、下北のクラブで万尊が流す大音量の「君が代」が静寂の流れから、ミックジョーンズのギター「should
I stay or should I go」への爆発はこっちも震えるしかない。やられる。
巻末に載ってる二代目広沢虎造の「清水次郎長伝」 原作者TKDも参加しているmuseum
of plate の「saon」やドアーズ、マリマンなど17枚もある万尊のレコード批評は必読。
|